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シンポジウム「法獣医学の世界」Q&A

2022年9月3日(土)に開催された公開シンポジウム「法獣医学の世界」で、皆様からいただいたご質問にお答えましす。

基本的な事柄の質問ですが、お話の中に、「環境アセスメント」のお話がありました。この内、「環境毒性学」は、法獣医学の分野でも、存在するのでしょうか。

動物が環境汚染のセンチネルになることもあり、野鳥や野生動物の不審死や大量死の環境調査や毒性分析により、原因が特定されることもあります。よって、池中先生のご講演にもあったように、野鳥の鉛中毒も環境中の鉛汚染を示唆するものであり、環境毒性学は、法獣医学の分野に非常に密接な関わりがあると考えます。

法獣医の獣医学教育への導入は具体的にどのような形で行われるのでしょうか。例があれば教えて頂きたいです

現在、検討・協議中ですので、具体的な導入についてはまだ決定はしておりません。今後、学会の方からも進捗状況についてご報告出来ればと存じます。

獣医学部生です。法獣医学に興味があるのですが、なかなか学ぶ教材がなく米国の教科書(Veterinary Forensics)を使用しています。初学者が学ぶなにかいい教材はありますでしょうか

Veterinary Forensics: Animal Cruelty Investigations、Veterinary Forensics: Investigation, Evidence Collection, and Expert TestimonyなどはAmazonでも入手可能です。

日本獣医生命科学大学では、シェルターメディスン実習を実施しており、法獣医学や虐待に関わる視察等の実習を行っており、学外の学生も受け入れています。北海道大学では動物の中毒に関する実習を行っています。

伴侶動物においても産業動物においてもということですが基準として同列に考える事は難しいと思うのですかどのようにお考えでしょうか

動物福祉は科学ですので普遍的であり、Resource-based measures、Management-based-measures、Animal-based measuresと評価基準の原則や基本は同じです。動物に対する苦痛というのは、一貫しています。一方で、法獣医学的な所見によって、得られた結果をどのように適用し、反映していくか、というのは、伴侶動物や産業動物では、動物の用途や環境等様々違いますので、同列ではないと思います。

人間の子供に対する虐待において法医学が大きな重要性を示しております。つまり、認定基準が確立されてきており、虐待か否かの判断が一昔前に比べ、容易になってきていると聞いております。一方、動愛法44条2項には虐待行為ついて、具体的列挙はなされているものの、その認定に関して、困難さが払しょくできていない感があります。そこで、質問させて頂きたいのが、人間に対する虐待診断を、動物に対する虐待認定の際に活用することは可能でしょうか?また、そういった研究等は我が国において進んでいるのでしょうか?

ご質問ありがとうございます。虐待の認定というのが、獣医師が判断する虐待の認定なのか、それとも司法が判断する虐待の認定についてなのかによって、お答えが変わるように存じますが、今回は、獣医師が判断する虐待の認定についてご回答させていただきます。法医学教室に短期間所属していた経験からのご回答で大変恐縮ですが、法医学において医学的な死因の診断はある程度可能であっても、虐待か否かの判断は、それ程容易ではないように感じております。例えば、身体的虐待であれば、打撲の形成が認められても、その所見を形成した器物は所見だけでは推定困難なことが多いからです。しかしながら、所見が形成されている身体の部位や範囲等から、事故では形成し得ない損傷であるということで、非偶発的損傷(Non-Accidental-Injury)と診断することは可能です。動物においても同様ですので、身体的虐待に関しては、子ども虐待の診断方法を動物に応用することもできる可能性はありますが、人と動物は体の構造や体格も異なりますし、動物種も多岐にわたるため、受ける暴力が子ども虐待とそっくり同じということにはならないと考えます。ネグレクトに関しましては、人と動物の差異と生活環境の差異、動物種や動物と人との関係性は様々ですので、虐待の診断基準は異なると考えられます。しかしながら、動物虐待が認められた家庭では、子ども虐待や家庭内暴力が認められる割合が高いとされておりますので、医学分野への情報提供という観点と、子ども虐待と動物虐待の類似性について関心がありますので、法医学教室との共同研究を実施し、所見や生育環境等の比較研究を試みたいと考えております。

高校生でも動物虐待に気づけたり防いだりすることはありますか。もしあれば教えて下さい。

公共機関で動物の不審死体等を見かけた時には、保健所や警察に通報して下さい。動物虐待に関する知見については当学会や環境省で出しているガイドラインをご参照ください。

ペットショップの監査をすることで、動物の殺処分を減らすことも、可能になりますか?

ペットショップのみを限定的に監査をすることが、動物の殺処分を減らすことにはつながらないと考えます。「殺処分」というのは、実際には、獣医師が獣医学的な判断の基に行う「安楽死」になります。安楽死を行う理由は多様ですが、不必要な安楽死は当然やるべきではなくなくさなければなりませんが、一方で、必要な安楽死(予後不良であったり、治療が難しい病気の場合、攻撃性が極めて強く、人の安全が確保できない場合、公衆衛生上の問題があった場合等)は実施しなくてはならない場面もあります。

先端技術との関係による畜産や実験動物との関係における制度や倫理における議論などは、どのような状況でしょうか。例えば、ブタは畜産動物なので人の臓器をつくって移植をすることに問題はないとして実践されている(少なくとも海外で)ということがあるようでし、中国でもクローンのペット(その代理母の状況の問題なども)が市場化されているようなので、先端技術との関係について伺いたいです。

澤井努『命をどこまで操作してよいか』(慶應義塾大学出版会,2021年)の「第2章」(43頁以下)で「動物で人の臓器を作ってよいか」というテーマが扱われていますので,同章をご参照いただくように回答するのも一案かと思われます。

画像検査はレントゲン検査だけでしょうか?CT検査も全例に実施していますか?また、薬物検査は全例にありましたが、全例にクロマトグラフィ検査を実施しているのでしょうか?各検査を実施すると、相当な費用になりますが、費用の捻出はどこからなのでしょうか??

ご質問ありがとうございます。CT検査を全例に実施しております。CT検査につきましては、東京大学法医学教室との共同研究として実施しており、費用は研究費で賄っております。

薬毒物検査につきましては、北海道大学にて、LC/MS、GC/MS、ELISAなど、クロマトグラフィに限らず、様々な手法で死因や中毒の原因同定を行っています。化学分析費用については、受託経費としていただく場合や、共同研究として実施する場合、また、助成金を得るなどの努力もしております。方法により金額も変わりますのでかかる経費についてはお問い合わせください。

大変面白いご発表ありがとうございます。一つ質問させて頂きます。動物の不審死体の病理組織検査についてもう少し詳しく教えて頂けますでしょうか?例えば、どの様な症例で行われますか。また、法獣医学の病理組織検査に関しておすすめの教科書などがありましたら、教えていただきたいです。よろしくお願い致します。

ご質問ありがとうございます。不審死体の病理組織検査についてですが、虐待診断というよりは、死因の確定診断のために実施することがあります。例として、エチレングリコール中毒が疑われる事例では、腎臓の組織検査により、尿細管へのシュウ酸結晶の沈着を確認し、確定診断を行います。焼死体では、生前死後の鑑別のため、解剖により気管内に煤の付着を確認し、肺の組織検査により、細気管支や肺胞内への炭紛沈着を確認します。熱中症の場合には、逸脱したミオグロビンが腎臓に移動し腎尿細管を閉塞、傷害し致死的な急性腎不全を引き起こすため、腎臓のミオグロビン染色を行い、ミオグロビンの存在を確認します。法獣医学の病理組織検査のみ記載されているテキストというよりは、解剖所見も合わせたテキストが多いと思います。

死亡時画像CTは大学に専用のCTがあるのでしょうか?画像データベースなどはありますか?

ご質問ありがとうございます。日本獣医生命科学大学で実施している死後CT画像検査についてですが、東京大学法医学教室が所有しております死体用のCT装置をお借りして撮影しております。過去の事例の画像は教室内のデータベースに保管し、診断および研究に使用しておりますが、公開・共有等はしておりません。

日本では、ペットについての登録は犬猫などにとどまっていること、動物を扱う業者や飼い主への取り締まりや規制の課題、あるいは動物は物損扱いになることというような問題と、動物からの被害(逃亡したペット、生物多様性、害獣など)とのバランスを取れるような制度整備はどのように進むでしょうか。畜産などは大規模農業や大規模畜産が寡占状況なので日本でも小農の権利宣言への賛同もせず、生産流通から消費までのシステムに介入をしないのではないかと思いますが、それらのシステムを問うような方向性に動物福祉の観点から向かうような動向はあるでしょうか。

ご質問ありがとうございます。動物の一般所有者や第1種動物取扱業者は登録制ですので、行政獣医師の先生方に、日本の動物福祉を向上させるため、虐待となる一歩でも二歩でも前の段階で、指導を重ねていただきたいと考えております。日本獣医生命科学大学では、行政の先生方の後方支援のため、調査に同行させて頂いたり、動物虐待の獣医学的なエビデンスを提供して参りたいと存じます。

多頭飼育崩壊現場で動物を一時保護する事があるとのことですが、その際飼い主の所有権が問題になることはないのでしょうか?

ご質問ありがとうございます。基本的に多頭飼育崩壊の事例の現場調査は、行政の先生や警察のご依頼で行っております。動物の一時保管についても同様ですので、大学のみの判断で動物を一時保管することはありません。多頭飼育崩壊事例の動物の所有者は、一般に、動物を所有することへの執着が高いため、ご指摘の通り、動物の所有権が問題となりますが、捜査に関しては、捜査令状によって押収可能なようです。大学が直接当事者に関与することはありません。

動物のネグレクト、不適切飼育を疑う状況を発見した場合、まずどこへに相談すべきでしょうか?

公共機関で動物の不審死体等を見かけた時には、保健所や警察に通報して下さい。

海外の缶詰狩猟と骨の密売などの問題もあるようですが、密猟、密貿易や人畜共通感染症、国際的な貿易その他の枠組みとの関係性をどのように見ておられますか。公共の場に虐待したり殺傷した動物を置くことで、例えば学校などでは子ども等のメンタルヘルスにも影響があると思うのですが、そのようなことへの取り組みもありますか。インターネット上の虐待動物の映像などを子どもなどから守る必要性と、そのスクリーニングを行うゴーストワークの人々の労働環境問題に関して、プロバイダーやGAFAなどへもその責任を持つようにしていけるでしょうか。

ご質問ありがとうございます。密猟や密輸に関しましても、法律違反ですので、法獣医学の範疇に入ると考えます。動物や動物の派生物の密輸によって、日本に存在していなかった人獣共通感染症が持ち込まれる恐れも十分考えられます。動物の不審死体を発見してしまった児童等へのメンタルケアに関しましては、地域にその対応をお任せしているのが現状です。解剖事例となった動物の飼い主様への配慮とまして、死体を返却する際に、縫合等を行い、できるだけ元の状態に戻して、埋葬できるようにエンバーミングを行っております。インターネット上の虐待動画に関してましては、動画を削除するだけではなく、虐待は犯罪行為ですので、通報しなくてはなりません。また、虐待動画については警察でも注視されているようですし、動画を見た一般の方が、早期に警察に通報しているようです。

家庭用殺虫剤がどうして中毒の原因物質として一番多いのでしょうか。どのように動物が摂取するのでしょうか。

入手のし易さ、毒性の強さが原因になっていると思われます。また、イヌの中毒が多いので、誤食が原因と考えられます。

木原先生のお話の中で、動物を警察が押収するとの内容がありましたが、押収し検査等行った後、その動物はどこに行くのでしょうか?愛護センター等でしょうか?

ご質問ありがとうございます。警察が動物を押収した後の動物の行方についてですが、事例によって対応が異なりますが、一般に、警察組織内には動物を専門に収容する施設や部署がないため、同じ管轄の動物行政の施設に収容されますが、何等かの理由で行政施設に動物を収容できない場合に、大学が協力することもあります。

変死体について、検視を行った後、その遺体を処分(焼却?)すると思われますが、警察による没収可能な動物虐待事案とは異なり、その検視対象となった動物の(亡骸の)所有権は、依然、飼主に残ります。この場合において、のちのちに所有者が現れて、所有権に関するトラブルに発展するという事例はありますか?

ご質問ありがとうございます。検視とは警察が行う外観観察のことで、検案とは医師が行う外観観察のことをいいます。日本獣医生命科学大学では、解剖検査を行っておりますが、行政や警察からの依頼を受けて行っておりますので、基本的には解剖後の遺体は依頼者に返却いたします。また、依頼を受ける際には、解剖後の遺体の返却のご希望を必ず依頼元に確認しております。飼い主が分かっていても夜逃げ等で、処分の可否について飼い主に確認できない場合や、飼い主が解剖を拒否している場合には、裁判所の処分許可状を発行後に解剖を実施する場合もあります。

獣医学科では、法学部のような六法と行政法の領域を、専門的に学ぶ時間は少ないと思います。獣医学を学ぶ上で、法的な素養をどの程度まで学べば良いのか、ヒントをいただけないでしょうか。

どの程度まで学べば良いかということを一概にお答えすることは難しいですが,まずは獣医学科で開講されている獣医学法規に関する授業で法的知識を身につけ,その後,実務に従事した際には,その都度,必要な法的知識を身につけていくのが良いかと思います。なお,動物法については,青木人志『日本の動物法 第2版』(東京大学出版会,2016年),愛護動物虐待等罪については,環境省『動物虐待等に関する対応ガイドライン』(2022年〔環境法H Pより入手可能〕)があります。

SNSで野猫を殺すなどの予告をした場合はそれを罰する法律はないの(で)しょうか?因みにそのSNSでの野猫を殺すと言う発言は警察などには通報してありますが法律上問題ないと言われました。野猫といっても首輪しているので飼い猫か地域猫だと思います。

動物の殺害予告を直接の対象として処罰する法律はありません。
なお,首輪をしている飼い猫ということであれば,当該猫の殺害を飼い主に対して予告すれば,「財産に対して害を加える旨を告知して人を脅迫した」として,脅迫罪(刑法222条1項)が成立する可能性はあると言えます。

動物虐待罪が該当する場合、欧州の動物保護法とは異なり、動物所有権は未だ飼主に残りますが、刑法上、犯罪組成物として「没収」が可能となるはずですが、実務的にはこれがどこまでなされているか不明です。もし、ご存じであれば、ご教示お願いします。

現時点で知りうる範囲ですが,実務において,虐待を受けた動物を犯罪組成物件(刑法19条1項1号)として「没収」したという事案はありません。虐待を受けた愛護動物を犯罪組成物件であると解したとしても,そもそも犯罪組成物件の没収は当該物件が再び犯罪に用いられないようにするという保安処分としての性質を有すると解されますので,虐待を受けた愛護動物の保護を直接の目的として「没収」を用いることはできないと考えられます。なお,狂犬病の予防注射を受けさせなかった犬は,狂犬病予防法5条1項違反の罪の犯罪組成物件にはあたらないとした裁判例(大阪高判平成19年9月25日判タ1270号443頁)があります。

野良犬、野良猫とノイヌ、ノネコの違いはなんでしょうか。

純粋な野生状態下に置かれているか否かになります。
なお,環境省自然環境局野生生物課鳥獣保護管理室監修『鳥獣保護管理法の解説[改訂5版]』(大成出版社,2017年)25-6頁では,鳥獣保護管理法2条7項の「狩猟鳥獣」とされている「ノネコ」「ノイヌ」(鳥獣保護管理法施行規則3条・別表第二)とは,「生物学的な分類ではペットとして飼われているネコ,イヌと変わらないが,飼主の元を離れて常時山野等において,専ら野生生物を捕食し生息している個体」を意味し,飼い主の下を離れていても,市街地などを徘徊しているような野良猫・野良犬は「ノネコ」「ノイヌ」には該当しないとされています。

養豚場で「殺処分するのが心理的に嫌だから」との理由により隔離房に移動し餌水がある環境で単回抗生物質など使用したのみにてその後週単位で死ぬまで放置されている豚をよく見かけるが、これは虐待なのでしょうか

ご質問ありがとうございます。動物や飼養環境を実際に確認していないため、明確にお答えすることは困難ですが、記載されている内容から、隔離の理由が人獣共通感染症であっても、獣医師によって適切に致死処分すべきであり、動物福祉を考慮しているとは到底考えられず、動物虐待に該当する可能性も否定できません。

法獣医学において虐待か否かの判断は含まれるのでしょうか。虐待が行われているか否かを判断するのは獣医師や警察や行政所管の役割であり、法獣医学の分野とは違うのではないでしょうか。私の考えだと法獣医学は飢餓や薬物の同定まで止まってしまうのではないかと思ったのですが。よろしくお願いします。

虐待の判断の裏付けとして使う科学的知見を探求することが、法獣医学の役割と考えております。そして、法獣医学は、獣医学的分野の一つあり、獣医師はその中でも大きな役割を果たします。犯罪行為としての動物虐待の判断は、警察や検察、裁判官などの司法の役割かと思います。法獣医学は、飢餓や薬物の同定のみならず、非偶発的外傷、性虐待、ネグレクト、多頭飼育崩壊、精神的虐待、ミュウヒハウゼン症候群等の様々な形態の動物虐待の科学的知見を提供することを目指し、野生動物の法獣医学では、密輸問題や生物保全の観点からも重要な役割を果たすため、法獣医学自体は非常に幅広い獣医学的分野です。

一酸化炭素中毒や農薬中毒の際の解剖所見は、どのような特徴的な所見がありますか?一般的な獣医が知っておくべき他の中毒の典型的な所見なども教えて欲しいです。

中毒の原因物質は非常に多く、また、中毒の肉眼所見は非特異的な所見も多いことから、解剖所見のみから中毒を診断するのは困難です。一般的な獣医師の先生方が知っておくべき中毒の典型的な所見としては、生体・死体問わず、毒性学や薬理等のテキストに記載されている所見をご存知であれば十分ではないかと考えます。意図的な小動物の中毒の場合、動物の嗜好物に毒物を混入させた毒餌を経口的に摂取させることが多いため、中毒疑いの動物が摂取したであろう毒餌が動物の周辺にないかどうかも確認されると良いと思います。一酸化炭素中毒の場合には、解剖所見として、血液や皮膚、筋肉、臓器割面が鮮紅色調を呈し、粘膜の充血も認められます。これらの肉眼所見は、腐敗の進行により確認でき難くなりますので、死体血のガス分析によって一酸化炭素を確認するのが良いです。ただし、今までの記載は、死体のその物質への曝露を証明しただけですから、死因となりますと、濃度にも注目する必要があります。ただし、死体に開放創がありますと、死後にも曝露されることもありますので、総合的な判断が重要です。

高校生です。現時点で法獣医学を学ぶことができる大学はありますか?また、今のうちにやっておいた方がいいことはありますか?お時間よろしければお答えいただけると幸いです。

日本獣医生命科学大学には、法獣医学を専門にしている教員がおりますので、学べる機会はあると思います。また、北海道大学でも、野生動物の法獣医学という観点で、化学物質分析等、様々な取り組みも実施されていると思います。高校生のうちは、視野を広げて、色々な大学を見に行くのも良いのかもしれないです。

一都市の開業医です。10年以上にわたり警察からの死因鑑定にAutopsy imaging として所有のX線検査やCT検査を利用し、犯罪の検挙に有用な情報が得られた事例を複数所有しており、同種の情報共有や鑑定精度の向上が必要に感じており、どのように検討をしてゆけば良いでしょうか?

ご質問ありがとうございます。既に画像検査による死因鑑定へのご実績があるとのことで、釈迦に説法となりますが、情報共有や鑑定制度の向上のため、私の場合は法医画像研究会という法医の先生方の中で、画像診断にご関心の高い先生方の勉強会に参加させていただいており、事例報告等を行っております。獣医学においても、学術雑誌への投稿だけでなく、同様の死後画像の研究会が発足すれば、日本の法獣医学の画像診断の向上に貢献できるのではないかと考えております。また、死後画像診断の国際学会もありまして、International Society of  Forensic Radiology and Imaging (ISFRI)では、医学分野だけでなく、獣医学分野の演題登録も可能です。日本法獣医学会でも、3月に学術集会を開催しておりますので、演題登録が可能です。

検査の際、肝臓や血液、腎臓など、どのくらいのサンプル量が検査に必要か教えていただけないでしょうか。解剖の際に念のため、保存しておく目安がしりたいです。

濃度に依存しますので、何とも言えませんが、できるだけ多くご送付頂ければありがたいと思います。ただし、実際に使用するのは、多くても1g程度です。

一酸化炭素中毒の判断が難しい理由を伺いたいです。

法医学的には、一酸化炭素中毒による死亡時には、死斑が鮮紅色を呈する事が知られているため、分かりやすいとされている。一方、法獣医学の場合、動物の口腔内が赤くなる程度で、実際は状況証拠から診断される場合が多いのが現状です。

先ほどのお話は、刑罰が執行される「没収(ぼっしゅう)」ではなく、所有権が剥奪される行政作用と意味で、「没取(ぼっしゅ)」という用語の事を指していらっしゃるのでしょうか。

先ほど頂戴したご質問は,付加刑としての「没収(ぼっしゅう)」(刑法19条)に関するものでしたので,「没収」を念頭に回答いたしました。

動物への毒となるような化学物質の利用から、例えば農薬や化粧品などに含まれて通常に使用されているものであっても、人体や環境への問題へのリスクとして使用自体を禁止する方向に向かうようなこともありますか。(現状では禁止にはなかなかならないような物質について)。動物虐待から人への犯罪へつながるリスクもあるかもしれないですが、科学的な判断が難しいような数や状態の動物しかない場合には、犯罪リスクの可能性への対応としても、その情報を警察などと共有することなどに留まるでしょうか。

多くの化学物質がヒトの健康を理由では無く、生態系への影響を理由に使用が中止になっています。

最近では、殺虫剤の一つであるネオニコチノイドの数種が欧米で使用が制限もしくは禁止されました。これは、受粉生物であるミツバチやハナバチへの影響を回避するための処置とされています。

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